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シビラ、電通グループと資本業務提携

2021年06月09日(水)

Web3.0時代のIDaaS「dAuth」を提供するブロックチェーンベンチャーのシビラ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役:藤井 隆嗣、以下「シビラ」)と株式会社電通グループ (本社:東京都港区、代表取締役社長執行役員:山本 敏博)は、Web3.0※1時代における自己主権型デジタルアイデンティティおよび情報流通インフラの構築・普及に向けて資本業務提携契約を締結致しました。

背景

近年、様々なサービスやプラットフォームが管理するデジタルアイデンティティ(ユーザーに紐づ く情報)をアプリケーション横断的に活用することによって生活の利便性が向上する一方、デジタ ルアイデンティティの乱立や相互運用性不足、事業者からの大規模なアイデンティティ情報漏洩 などにより顕在化したプライバシーリスク、といった問題も生じており、従来のデジタルアイデンティティ管理では利便性とセキュリティの両立が困難であることが明らかになってきました。このような背景を受け、企業などの管理主体を介さずに個人が自身のデジタルアイデンティティをコントロールできるようにすることを目指す概念であるSSI(Self-Sovereign Identity、自己主権型アイデン ティティ)を実現するための議論が進行しており、W3C※2 などの標準化団体では、その土台となる分散型識別子「DIDs」や証明書データモデル「Verifiable Credentials」といった新しい国際標準規格の策定が進められています。

自己主権的なデジタルアセット(Verifiable Credential、NFT※3など)管理を基礎として展開され る Web 3.0 においては、これらの標準規格群に準拠しながら、デジタルアセットの管理主体であるデジタルアイデンティティを設計・実装する必要があります。
しかし、このようなデジタルアイデンティティの実現には様々な課題が存在します。

まず課題となるのが、エンドユーザーの秘密鍵管理です。前述した標準規格群は非対称鍵暗号 の利用を前提としているため、これらに準拠したシステムが広く社会に展開されるにつれて、エンドユーザーが自身で秘密鍵を管理する必要性も高まりますが、現状、エンドユーザーがこれをセキュアに行うための環境(ツールやサービスなど)は十分に整っていません。実際、非対称鍵暗号がベースとなるブロックチェーン領域において、秘密鍵の役割やその紛失・盗難リスクを理解していながらも秘密鍵管理の不備によってデジタルアセットを失ってしまう人は少なくありません。Web3.0の構築が進み、よりリテラシーの低いエンドユーザーが秘密鍵を管理する必要に迫られた場合、その紛失・盗難などによる被害が増大することは目に見えています。

また、Web3.0におけるデジタルアイデンティティの構成要素として、NFTをはじめとしたブロックチェーン上のデジタルアセットは有用だと考えられますが、これらを操作するためには、ブロックチェーン上のアカウントとそれに対して操作権限を有する秘密鍵を管理するウォレットを保有し、そのウォレットからブロックチェーンに対してトランザクション手数料を支払う必要があります。エンドユーザーがこの手数料を用意するためには、KYCを経て暗号資産取引所にアカウントを作成し、手数料の支払いに充てることが可能な暗号資産を購入し、自身のデジタルアイデンティティに 対して操作権限を有するウォレットに送付する、といった専門性の高いプロセスを経る必要があります。しかし、専門知識のないエンドユーザーがこのような準備を行うのは非常に厳しいでしょう。 また、このようなブロックチェーン上のデジタルアイデンティティ(デジタルアセット)を扱うアプリ ケーションの開発者は、厳しい法規制に抵触しない形式でウォレット機能を提供しない限り、サードパーティが提供するウォレットとの連携が必須となりますが、現状、このような連携を機能として提供するウォレットは数が少ない上、専門知識を有するエンドユーザー、すなわち、前述したような秘密鍵管理やトランザクション手数料支払いの問題を自力でなんとかできるだろうエンドユーザーの利用を前提としたものがほとんどです。

シビラの取り組み

これらの背景を踏まえ、Web3.0を構成する標準規格やブロックチェーンについての専門知識を持たない開発者が自己主権型のデジタルアイデンティティを扱うアプリケーションを構築し、同様に専門知識を持たないエンドユーザーに対して提供することをサポートするID as a Service「 dAuth」の開発を進めて参りました。

dAuthは、各種API・SDK と合わせて、サードパーティが連携可能なノンカストディアルウォレットも提供しますので、前述したようなエンドユーザー側の課題(秘密鍵管理やトランザクション手数料支払い)や開発者側の課題(法規制に抵触しないウォレットの実装・連携)の解決に活用することも可能です。このウォレット機能と連携することで、例えば、昨今注目を集めているNFTを扱うアプリケーションを、ブロックチェーンに関する専門知識を持たないエンドユーザーでも利用できるような形式で構築することが容易になります。

電通グループとの協業

当社のブロックチェーン技術およびWeb3.0関連技術と、電通グループの事業開発力、クリエイティビティ、ネットワークを掛け合わせ、以下の3領域を中心とした R&D活動を推進してまいります。

1)Web3.0時代の自己主権型ID
コンテンツやブランドなど様々なtoC事業において、ユーザーとの中長期的な関係構築のためのエンゲージメントの向上が重要になってきています。そこで、「ユーザーのコミュニティ形成やパートナー化の促進」、「サービス外でのユーザー貢献の可視化・評価・貢献に対する還元を可能にするアプリケーション横断型のロイヤルティプログラムの構築」などを行うため、プログラマブル※5 な自己主権型IDインフラの構築に、共同で取り組みます。

2)Web3.0時代のコンテンツID
アプリケーションが横断的に展開されるコンテンツのn次利用において、「コンテンツn次利用にまつわるライツ・マネジメント」、「コンテンツ利用により得た収益の一部を原著作者へ確実に還元する仕組み」、「コンテンツのデジタルアセット化による新しいマネタイズ」などを実現するため、プログラマブルなコンテンツIDインフラの構築を、共同で推進します。

3)Web3.0時代のソーシャルエコノミー
SDGsに代表されるソーシャルグッドな活動の持続的な成長には、企業・個人による自発的な貢献が促進されるためのインセンティブモデルの形成が重要だと考えています。そこで、「活動実績のデジタルアイデンティティ化」、「活動を楽しくするコミュニティ形成の促進」、「金銭的報酬以外のことも含むさまざまなインセンティブの提供」などをプログラマブルに行うことのできる価値還元インフラの構築に共同で取り組みます。

※1 Web3.0
データに対するアクセス権・所有権を自己主権型で管理する SSI の考え方に則り、デジタル資産を軸にアイデンティティ構築を行う、価値のインターネット。

※2 W3C
WWW(World Wide Web)で使用される各種技術の標準化を推進するために設立された標準化団体。HTTP や HTMLなど、昨今のインターネットの規格を策定してきた実績がある。https://w3c.org/

※3 NFT
Non-Fungible Tokenの略語。ブロックチェーン上でその唯一性が保証されているトークンであり、暗号学的にその保有や来歴を証明することが可能。現状、ゲームアイテムやアートの表現手段として活用されることが多いが、今後はデジタルアイデンティティの構成要素(ゲームアイテムやアートなども含む)の表現手段としてより広範に活用され、アプリケーションを横断したアイデンティティの共有、アイデンティティに付帯する権利(ユーティリティ)の証明、といった発展的なユースケースも増加していくことが予想される。

※4 プログラマブル
プログラムによって動作を制御できる状態であり、契約・権利の自動執行やボーダーレスなアプリケーション連携を可能とする。